interview

case_04

本質的な魅力を、的確な内容で
ターゲット層に届ける制作物

client

対馬市役所

森山 成人氏

mission / 依頼内容

観光パンフレット

proposal / 提案・実施内容

パンフレット制作/SNS素材制作/動画制作/特設LP制作

[撮影協力] 藤森 泰士

本質的な魅力を、的確な内容で
ターゲット層に届ける制作物

市役所の主観的視点と、
制作会社の客観的視点が
活きたガイドブックになりました。

_ 本件は対馬市役所さまのプロポーザルに弊社が参加し、採択していただいたお仕事です。観光ガイドブックの刷新についての案件でしたが、付帯提案としてHP、動画、SNS素材をご提案し、作らせていただきました。改めて今回の案件を振り返り、お話を聞かせてください。ガイドブックが完成してみて、いかがでしたか?

対馬らしさが詰まった一冊に仕上がったと思います。対馬は、大陸と日本の間に位置する国境の島です。その立地のおかげで、自然環境や生き物、歴史や食べ物には、他にはない独自の魅力が詰まっています。「他のリゾート島とは一線を画した魅力を最大限に生かし、コアなファンに受け入れられる対馬をつくる」というのは、市が公表している観光振興推進計画の内容なのですが、「ツウな島 対馬」という今回のガイドブックのコンセプトは、まさにその指針に沿ったものでした。対馬の価値を「表面上の美しさだけではない、背景を知ってこそ味わうことができる魅力」だと捉え、それをよく知る方々=ツウ(通)な方の言葉を通して伝える。観光振興推進計画が、よく企画に落とし込まれていると感じています。

_ 「ツウ(通)」というのが本ガイドブックの肝でしたが、進行過程で感じたことを教えてください。

提案してもらった企画・台割が固まったら、自然、歴史、食の大きく分けて3つのカテゴリーで人選や場所の選定をおこないました。市役所側で人物や場所リスト化し、全体のバランスを見てピックアップしてもらうという作業でしたね。制作側の視点で、企画の内容や誌面のバランスをふまえて「どんな情報を発信したほうが良いか」を提示してもらい、一方でやはり市のことは私たちが良く分かっているので、そこに合致した人物を紹介していきました。両者の強みを活かし、選定に関してはスムーズに進行ができたかなと思います。


「表面上の美しさではなく、
中身のある美しさ」に
こだわって作ることができました。

_ 今回のガイドブックは対馬が持つ魅力を最大限伝えるため、企画、デザイン、コピー、人選、仕様すべてで「ツウ」というキーワードにこだわりました。印象に残っている点はありますか?

対馬の魅力を、写真には映りきれない歴史的背景や学術的価値を通して伝えるため、全体を通して「ツウの言葉で伝える」という点にこだわりました。そのため、ガイドブックの中身をインタビュー中心にし、さらにナマの声を届けられるように動画を掲載する特設LPもセットでつくる、というのが珍しかったかなと思います。あとは表紙を決める際、デザインだけではなく紙や特殊加工の案を何度も出していただいて、どれも良くて迷った記憶がありますね(笑)。プロポーザル当初の仕様書では一般的な紙を想定していたのですが、せっかく紙媒体をつくるのであれば、紙媒体ならではの強みを生かした方がよい。また今回のガイドブックが知的でマニアックな方々がターゲット層ということで、華やかさや派手さではなく、上質でしっかりとした印象を持たせたほうが良い。という提案をいただき、現在の表紙が出来上がりました。

_ プロポーザル案件で全体の予算はあらかじめ決まっていたので、高価な紙や特殊加工を使うことによって弊社自身の首を絞めていたようなものなのですが…「よりよいガイドブックをつくりたい!!!!」という森山さまの熱意に甘え、弊社もとことんこだわらせていただきました。ガイドブックを刷新したことによって、評判はいかがですか?

本誌の最後にアンケートを取っているのですが、評判は良いです。読み応えがある点や、上質で読みやすいという点を評価してくれる方が多いですね。あとは他県にお伺いする物産展のときにも持っていくのですが、だいたい「これ無料で持って行っていいんですか?」と聞かれます(笑)。もちろん無料と伝えると、みなさん喜んで持って行ってくれますよ。これまで対馬に興味が無かったという方にも、このガイドブックで魅力をお伝えできればいいなと思います。

_ 実際に取材・撮影で何度も対馬へ行かせていただき、たくさんの方にお話を伺いましたが、知れば知るほど面白く、さらに知りたくなっていきます。日本と外国に挟まれた国防の歴史や、まだ生き残っているかもしれないというニホンカワウソの話など、ロマンに溢れていますよね。

現在でも、学術研究的な目的や自然・生物の観測目的で、コアなファンの方が多くいらっしゃいます。今後は、よりそういった層に魅力を発信していきたいです。島で育まれてきた歴史や自然、文化の裏に流れているストーリーを知っていただくことで、対馬にしかない魅力、真の対馬の魅力に気がついていただけると思うので。「物語を知ることで、初めて対馬の本質と出会えるという」その想いが、ガイドブックの表紙に掲載されている「はじめまして、つしま」に表現されているので、個人的にもお気に入りポイントの一つです。

[2024年7月 取材]

information

ツウな島 対馬

独自の自然、歴史、食文化を持つ対馬。しかし、その特徴は広く知られているわけではない。実は対馬では、様々な分野の専門家やマニアたちが集い、好奇心を満たしているのだ。この一冊を読むことで見えてくる、ツウの視界を通した対馬の姿は知れば知るほど知りたくなる「本当の対馬」だ。

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