interview

case_03

商品の顔であるパッケージで
「こだわり」「価値」「特徴」を
魅せる。

client

赤島製塩所

塩職人 平山 剛規氏

mission / 依頼内容

商品リブランディング

proposal / 提案・実施内容

パッケージ制作/リーフレット制作/POP制作

[撮影協力] 藤森 泰士

商品の顔であるパッケージで
「こだわり」「価値」「特徴」を魅せる。

総合的なリニューアルが
結果に繋がりました。

_ 「対馬のほし粒」のパッケージをつくらせていただいた経緯は、ちょっとイレギュラーでした。弊社ディレクターが対馬市役所の方からのご紹介で赤島製塩所にお邪魔したのが最初のきっかけです。その際に、できたての塩を味見させてもらい、こだわりを聞いたディレクターが感動し、「ぜひパッケージを弊社にてリニューアルさせてほしい!」と持ち掛けたことで今回の案件がスタートしました。改めて、実際にパッケージのリニューアルを決めたときのお話を聞かせてください。

もともと「対馬のほし粒」は、料理人のもとに卸売りをするところからスタートしたブランドでした。料理人やつくる料理によって求められるお塩が変わるので、要望を聞いて、味や大きさを調整していくんです。そのうちどんどんお塩の種類も増えてきて、粒の大きさで種類を分けて一般の方へも販売を拡大していこうという流れになりました。HIQU DESIGNさんからパッケージのリニューアルを提案されたのは、ちょうどその頃でしたね。周りの方から「もっとパッケージに力を入れたほうが良い」というアドバイスもあったので、やはり商品の顔となるパッケージは時間とコストをかけてつくらないといけないなと感じました。

_ せっかく「こだわり」や「魅力」が、商品の顔であるパッケージで伝わらないと勿体ないですもんね…。弊社としてもそれらをいかにデザインに落とし込み、商品の価値を伝えられるかという点が、ご提案において一番のポイントでした。そこで今回は粒の大きさではなく用途で選べるといった商品構成にさせていただき、商品と一緒に配布できる小冊子までご提案させていただきました。

パッケージをつくるだけではなく、小冊子やPOPまでつくることができたのは良かったです。パッケージだけでは限界があると思いますし、デザインをリニューアルするのであれば総合的に変えたほうが良いですよね。小冊子に掲載する内容については何度も打ち合わせをおこないましたが、そのなかで塩の製造工程やミネラルの話をすると、HIQU DESIGNさんから驚きの声が上がることも多々ありました。自分が生産者なので、商品についてのこだわりや価値は一番よく分かっていると思います。一方で、一番知っているからこそ「当たり前」になってしまっているという部分もあるのかもしれません。そういった客観的にみて「すごい」と思う部分を、お塩を知らない方にも伝わりやすい形で落とし込むことができたのかなと思います。お塩だけでは演出しにくいしずる感を出すために「お塩を使った料理写真」を撮影しましたが、これは社内でも評判が良かったです。


特徴であり、美味しさの根拠でもある
「対馬らしさ」が
イラストで伝わりやすくなりました。

_ リニューアルによってお客様からの反応は変わりましたか?

変わりました!現在は飲食店と土産店を中心に展開しているのですが、売上は好調です。お試ししやすいようにサイズが小さくなったことや、これまでは「お塩の粒の大きさ」で分類していたものを「お肉塩」「お魚塩」「万能塩」というふうに「用途に合わせた分類」にするという提案によって総合的なリニューアルになったことが良かったのだと思います。お肉塩パッケージには、対馬で有名なジビエのイラストを多用。お魚塩パッケージには、対馬で有名な海の幸のイラストを多用。そして万能塩にも、対馬で有名な原木しいたけや芋のイラストを載せたことで、商品の特徴と対馬らしさ、魅力をギュっと詰め込むことができました。パッケージを3つ繋げると対馬の形になると気が付いてくれて、セットで購入してくれる方も増えているようです。「対馬らしさ」を強めることができたことは、個人的にもすごく気に入っている点ですね。

_ 打ち合わせを進めて行く中で、「対馬だからこそ」叶えられるお塩の魅力や、平山さんの対馬に対する強い思いをお伺いできたことが、今回のデザインに繋がっていると思います。これからも対馬を軸足にして展開を続けていくのですか?

そうですね。そもそもお塩づくりをはじめたのが、「対馬の魅力を伝えるために、なにかできることはないか」という思いからなんです。お塩の味や栄養そのものであるミネラルは、海流によってもその成分量に違いがあるのですが、対馬は、ユーラシア大陸と日本の中間に位置する特異な島で、南からの海流と北からの海流が混じり合う場所にあります。海岸がリアス式になっていることもあって、混じり合った海流を引き込みやすくお塩づくりに向いているんです。しかし、まだまだ「対馬のお塩」というブランドは広げられる余地があります。対馬ならではのお塩づくり、対馬でしかつくれない塩の価値をもっと多くの方に伝えていきたいです。

_ 「対馬のお塩」として、今後全国に広めていきたいということですね。

そのために、今後いろいろな方とコラボをしていきたいと考えています。例えば対馬はアナゴも有名なんですが、対馬のアナゴはお塩でもとっても美味しく食べられるんです!実際に対馬市内のお店で、アナゴのお刺身と一緒に出していただいています。そんなふうに対馬のほかの特産品とコラボすることで、相乗効果的に一緒に対馬の魅力が発信していけたらいいなと思います。

[2024年7月 取材]

information

対馬のほし粒

九州と朝鮮半島の間に位置する島、対馬。その島内でも随一の海の美しさを誇る赤島の海水で作った天日塩です。結晶とミネラル分をしっかりと残しつつ、まろやかな味わいに仕上げています。

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