interview
case_02
トータルで管理してもらえる
安心感と
一緒に先を見据えられる信頼感。
client
株式会社キザクラ
代表取締役社長 草野 剛氏
mission / 依頼内容
◯会社および各種ブランドのブランディング・ツール制作全般
◯月に1度のブランド会議
proposal / 提案・実施内容
16年間、月に1度のブランド会議にて都度ご提案
[撮影協力] 藤森 泰士
トータルで管理してもらえる安心感と
一緒に先を見据えられる信頼感。
ロゴをつくる、会社が見える。
_ キザクラさんとは、弊社創業時から16年にも渡りお付き合いをさせていただいています。最初はどのような案件をご依頼いただいたのでしょうか?
一番初めはロゴ制作を筆頭にしたリブランディグの依頼でした。平成20年のことですかね。当時はちょうど会社の組織体制が変わったタイミングだったんです。以前のブランディングは釣りが大好きな方向けのブランディングで、ファンもたくさんいたのですが、これからのことを考えるともっと幅広い人にも興味を持ってもらわなければいけないと思ったんです。釣りにまだ興味が無い人や、キザクラの既存ファンではない方にも受け入れられ、親しんでもらえるロゴをめざしました。ですが打ち合わせの比重としては、「ロゴの要望」というよりかは、「これからの会社の展望や商品展開の道筋」のほうが多かったです。半年程度、何度も膝を突き合わせて話し合い、提案してもらったロゴから選んだという流れです。若々しい元気さや勢いのある会社にしていきたい。狩猟から始まった「釣り」というものを、スポーツのような存在にしたい。そういった思いを込めて、現状の赤いキザクラカラーを選びました。「キザクラと言ったらこの色!」というのも以前は無かったのですが、ロゴを含むリブランディングによって、社内外でキザクラカラーの印象が広まっているのを実感しています。
_ 新しいロゴをつくったことによって、社内外からの評判は変わりましたか?
新規のお客さんや取引先の方、卸先の店舗の方からはとても評判が良くなりました。認知も以前より広がったと思います。一方で昔からのファンの方の中には、以前のロゴに愛着があったから寂しいと言ってくれる方もいました。そういった方にこそ新しいロゴにも愛着を持ってほしくて、ウチと長い繋がりがある大御所のテスターさん(釣り名人)と一緒にロゴを載せた雑誌広告等を掲載したり、ロゴの由来を説明したりして、浸透をはかりました。
_ ほかにロゴをつくったことで変わったことなどはありましたか?
ロゴをつくったことによって会社が大切にしたいことがまとまり、会社全体の方針や展望の考え方が分かるようになりました。年間テーマを組むようになったのはその時からですね。年間テーマは、これまでのキザクラをふまえてつくられる、これからのキザクラのための1年間のキャッチコピーのようなもので、製品開発や商品、実施するイベントや社員教育の指針です。挑戦の年にするか、お客さんに感謝を伝える年にするか。一言で表して、社内外で共通認識が持てるようにしています。その他にも、海外市場への参入を本格的に考えられるようになったり、より良い品質で制作するために社内の受発注の仕方から見直したり。ロゴをつくると、めざす会社像が明確になるので、そこに至るまでのいわゆる「会社をより良くするための動き」も見え始め、とにかくたくさん進化をしていきました。
定期的に、継続的に
一緒に歩むデザイン会社。
_ さきほどお話の中に出てきた「年間テーマ」をはじめ、様々な提案の場、かつヒアリングの場として、キザクラさんと弊社は月に1度、定期的なブランド会議をおこなっています。16年間も続けていただいている理由を教えてください。
やっぱりトータルで見てもらえるというのがありがたいから、ですね。ウチは釣りの種類に応じて複数のブランドがありますが、新しいブランドを考え始めるとそちらにばかり意識がいってしまいます。するとどうしても既存のブランドのことを頭の端に追いやってしまって、兼ね合いを考える余裕がなくなってしまうんですよね。そういった時にデザインはもちろん、各ブランドの狙いや役割などを含めて、一緒に整理をして、俯瞰で考えてもらえる。そこの安心感があります。ブレないようにブランドを管理する一方で、会社が進化していくにあたって少しずつ変化もしています。そういった部分も含めて、ブランドをどう変えて行けばよいかも相談できるのは、ずっと継続しているデザイナーさんならではだなと感じています。パッケージも、広報物も、HPも、冊子も……振り返って見ると一緒にいろいろやってきましたね。毎年提案いただいている「年間テーマ」も含めて、様々な提案をもらえるのは、ずっと近くで会社を見てもらっているからなんでしょうね。
_ 弊社としても、リアルタイムなキザクラさんの状況やこれまでの歴史、これからの展望が見えている分、より効果的なご提案がしやすいと考えています。しかしご多忙な中、月1で社長含む経営幹部陣のお時間をいただいておりますが、ご迷惑ではないのでしょうか?
ブランド会議は、会社の方針や考えを話す場でもあるので、社内の共通認識をつくるうえでも機能しています。加えて、他社事例の解説からブランディングについての勉強の場にもなっています。新たなブランドやモノをつくる際にも、社長である自分だけが考えて「これをやる」と意思決定を下すよりも、みんなが当事者意識をもってつくりあげるほうが良い方向に進みますしね。いろいろな目的があるので、単発ではなく継続的に、不定期ではなく定期的に会議を開くことはとても意味があるなと感じていますし、そういった存在は必要だなと思います。
_ ありがとうございます。最後に、これからの目標を教えてください。
目標というか、課題になってしまうかもしれないけれど。キザクラの商品を買って、使ってくれている人が「良いな」と思ってくれるブランドにもっともっとしていかないといけないと考えています。そのために、商品開発や実施イベント含めたブランディングを常に進化させていきたいです。釣りって本当に楽しいので。でもやっぱり釣れないとその楽しさって伝わりづらい。だからこそ、素人の方からプロの方までの幅広い層の、幅広い釣りの種類で、「釣れる」をサポートできる存在になっていきたいなと思います。
information
株式会社キザクラ
「釣れるをつくる、キザクラ」。釣れる釣具を生み出すことで、釣りの楽しさを支える。その思いのもと、長く培われてきたウキ技術を活用し、多種多様な釣具を企画・製造・販売しています。